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近刊チェック《知の近未来》:08年12月25日
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■「近刊チェック《知の近未来》」/ 五月
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今年はというか今年も激動の一年だった。草思社が文芸社の傘下に、そして青山ブックセンターがブックオフ傘下になるなんて、十年前は想像できなかった気がする。むろんここ十年の出版社や書店の景気の下降は業界人ならば誰もがよく知っていることで、どんなことが起きても不思議ではなかった。ベストセラーを連発していた中堅出版社が自費出版最大手に呑まれ、個性派セレクト書店が古書店チェーン最大手の子会社となったことも、青天の霹靂とは言えまい。
もはや何が起きても業界人は驚かないとは言え、この金融不況下で加速しつつあるかもしれない業界再編劇に無関心でいるわけではない。丸善が大日本印刷の子会社になったかと思えば、今度は丸善と図書館流通センター(TRC)が経営統合するという。また、九州の書店チェーンである積文館書店とブックセンタークエストが来春合併するとのことだ。
小城武彦(おぎ・たけひこ 1961-)氏は丸善の社長に昨春就任してからというもの、次々と手を打ってきた。アマゾン・ジャパンとの書籍オンライン販売の事業提携に始まり、今年は先述の動きがあった。私のような零細自営業者から見ると、ほとんどジェットコースター並みの展開である。
小城氏の半生をごく大雑把に見てみると、東京大学法学部~通産省~カルチュア・コンビニエンス・クラブ(ツタヤオンライン)~産業再生機構(カネボウ化粧品)~丸善というふうに、強力なお助けマンとしての地位を築いてきている。経営統合する丸善とTRCのトップに立つのもまた、彼である。
おそらく十年後に業界史が書かれるならば、彼は間違いなく再編劇のキーパーソンとして登場するだろう。小城氏を軸にする業界再編は今後も続くだろうから、極端な話、彼周辺の動静をマークすれば業界の現在が見えてくると言っても過言ではないかもしれない。
彼の次の一手は何だろうか。凡人の私には想像できないが、いくつか気になることがある。オンライン書店のbk1が今後どうなるか、ということだ。bk1の親会社は周知の通りTRCである。丸善のオンラインストアはアマゾンと提携したままだ。一方、bk1は先月末から大手レコード販売店HMVと提携を開始した。丸善とbk1の関係はどうなっていくのか、見当がつかない。たとえばbk1がHMVではなく、ツタヤあるいは新星堂と提携していたら……いや、こんな突拍子もない想像は無益だろう。
このままではいっこうに近刊の話題へ移れないので、最後にひとつだけ。積文館書店とブックセンタークエストはいずれも取次最大手である日販の関連会社である。日販がもしもさらなる効率化を考えるならば、自社傘下の書店チェーン――たとえばリブロなども他書店との統合対象になりうるのかもしれない。
さてさて、来月(09年1月)の新刊で気になったのは以下の書目である。
2009年01月
06日『創刊の社会史』難波功士 ちくま新書 798円
07日『神曲 煉獄篇』ダンテ/平川祐弘訳 河出文庫 998円
07日『増補 虚構の時代の果て』大澤真幸 ちくま学芸文庫 1,260円
07日『熱学思想の史的展開(2)熱とエントロピー』山本義隆 ちくま学芸文庫 1,470円
07日『五輪書』佐藤正英注釈・訳 ちくま学芸文庫 903円
07日『福の神と貧乏神』小松和彦 ちくま文庫 672円
07日『つげ義春コレクション(4)近所の景色/無能の人』ちくま文庫 798円
07日『ちくま日本文学(031)夢野久作』ちくま文庫 924円
08日『東北学/忘れられた東北』赤坂憲雄 講談社学術文庫 1,103円
09日『アドルフに告ぐ(1,2)新装版』 手塚治虫 文春文庫 各630円
16日『マッド・マネー』スーザン・ストレンジ 岩波現代文庫 1,470円
16日『デューラー 自伝と書簡』岩波文庫 798円
16日『ホフマンスタール詩集』岩波文庫 693円
20日『恋について』チェーホフ 未知谷 2,100円
20日『筒井版 悪魔の辞典 完全補注』上下巻 ビアス 講談社+α文庫 各880円
21日『KAWADE道の手帖 中島敦』河出書房新社 1,575円
22日『自由訳 良寛』新井満 世界文化社 1,260円
22日『政治への想像力』杉田敦 岩波書店 2,520円
23日『不干斎ハビアン:神も仏も棄てた宗教者』釈徹宗 新潮選書 1,260円
24日『超スピリチュアル次元/ドリームタイムからのさとし』よしもとばなな+ウィリアム・レーネン 徳間書店 1,575円
27日『宿神論:日本芸能民信仰の研究』服部幸雄 岩波書店 8,925円
27日『天皇の秘教』藤巻一保 学習研究社 4,410円
28日『ハチはなぜ大量死したのか』ローワン・ジェイコブセン 文藝春秋 1,890円
29日『ロベール・ドアノー写真集 パリ』岩波書店 9,450円
大澤さんの『虚構の時代の果て』は96年のちくま新書が親本。今春刊行された『不可能性の時代』(岩波新書)はその続編。増補されて文庫で読めるようになるのは嬉しい。
ストレンジの『マッド・マネー』は『カジノ資本主義』に続く文庫化第二弾。同版元の単行本『国家の退場』も現在品切なので、さらに続けて文庫化して欲しいものだ。
筒井康隆訳『悪魔の辞典』は02年10月に単行本として刊行されていたもの。既訳には奥田俊介訳(角川文庫)や、西川正身訳(岩波文庫)などがある。
『超スピリチュアル次元』の共著者ウィリアム・レーネン氏は「サイキック・チャネラー」だそうだ。氏はよしもとばななさんと対談したことがあり(『アトランティア 浮上編』徳間書店/12月8日発売)、彼女を高く評価しているのだとか。
ジェイコブセンの『ハチはなぜ大量死したのか』は、版元の内容紹介によれば、「地球の生態系の危機」に迫る、「現代版『沈黙の春』」だそうだ。『沈黙の春』は言うまでもなく、レイチェル・カーソンの名著で環境問題を扱う古典だ。新潮文庫で読むことができる。
『ハチはなぜ~』について、版元紹介文をさらに見てみよう。「2007年、北半球に生息するミツバチの4分の1が消えました。ある朝養蜂家が巣箱をあけると、そこにいるはずの働きバチがいないのです。働きバチは二度と帰ってくることなく、そのコロニーは全滅します。謎のその病気は蜂群崩壊症候群(CCD)と名付けられます。その原因追究から「生態系の平衡の歪(ゆが)み」というより大きな枠組みに読者をつれさる知的興奮の科学書です。福岡伸一さんの解説が付きます」。CCDについては、ナイト・シャマラン監督の映画『ハプニング』を見て、記憶している人もいるだろう。
発売日が未詳だが、09年1月の新刊には次のものもある。
『フッサール・セレクション』立松弘孝編 平凡社ライブラリー 1,470円
『イデーン(2-2)』フッサール みすず書房 6,300円
『故国喪失についての省察(2)』E・サイード みすず書房 5,040円
『「あこがれ」の輝き:源氏物語を読む』ノーマ・フィールド みすず書房 5,880円
『史上最悪のインフルエンザ:忘れられたパンデミック』A・W・クロスビー みすず書房 4,620円
『創発する生命:化学的起源から構成的生物学へ』ピエロ・ルイジ・ルイージ NTT出版 5,250円
『アメリカの省察:トクヴィル・ウェーバー・アドルノ』クラウス・オッフェ 法政大学出版局 2,100円
『国家とは何か:ピエール・ブルデューと民主主義の政治』ブルデュー+ヴァカンほか 藤原書店 4,410円
『スパイと公安警察:ある公安警部の30年』泉修三 バジリコ 1,680円
『ヤバい社会学:一日だけのギャング・リーダー』スディール・ヴェンカテッシュ 東洋経済新報社 2,100円
『新版 路上のマテリアリズム:電脳都市の階級闘争』平井玄 社会評論社 2,415円
『完訳 わが闘争』全二巻 アドルフ・ヒトラー/畔上司訳 学研 各2,940円
『ナチが愛した二重スパイ:英国諜報員「ジグザグ」の戦争』ベン・マッキンタイアー/高儀進訳 白水社 2,520円
『時間と自由』ベルクソン/平井啓之訳 白水Uブックス 1,365円
『西洋美術書誌考』西野嘉章 東京大学出版会 9,240円
『東京ブックナビ』東京地図出版 1,050円
クロスビーの新刊は前世紀前半に大流行した「スペインかぜ」を研究したもので2004年に刊行されたが、今回、「訳者による解説「パンデミック・インフルエンザ研究の進歩と新たな憂い」を付した新装版」(版元紹介文)として再刊される。
ヒトラーの『わが闘争』は平野一郎・将積茂訳(角川文庫版全2巻)が完訳本としては長らくもっとも入手しやすい版として巷間に流布されてきた。今回の新訳では訳文の可読性を高め、補足説明や訳注を充実させているようだ。なお、日本ではヒトラーの「未刊の口述タイプ原稿」も、『続・わが闘争』として翻訳されている。平野一郎訳(角川文庫、04年7月)、立木勝訳(成甲書房、04年5月)。
マッキンタイアーが描いているのは、版元紹介文によれば、「第二次大戦末期、ロンドン暗黒街の悪党チャップマンは、ナチのスパイとなるも、実は二重スパイとして、ベルリンに偽情報を送っていた」という秘史。既訳書に『エリーザベト・ニーチェ:ニーチェをナチに売り渡した女』(白水社、1994年)や『大怪盗:犯罪界のナポレオンと呼ばれた男』(朝日新聞社、1997年)などがある。今回の新刊は、トム・ハンクスによる映画化が進行中だそうだ。
『東京ブックナビ』は書店や図書館のほか、近隣の喫茶店・飲食店、また、オンライン書店なども紹介するそうだ。約4年前、メタローグから『ブック・ナビ東京:必ず見つかる!書店&図書館800件徹底ガイドの詳細』というのが刊行されていたことを思い出した。
作者:urag
更新日:2008年12月26日 9時17分
新規開店情報:月曜社の本を置いてくださる予定の本屋さん
これから開店する本屋さんで、弊社の本を扱ってくださる予定のお店を順次ご紹介しております。お近くにお越しの際はどうぞお立ち寄りください。
09年3月6日
谷島屋浜松本店:図書570坪
静岡県浜松市中区砂山町6-1 メイワンビル8F
JR浜松駅ビル「メイワン」6階に売場面積200坪で展開している「メイワン店」が来春増床して生まれ変わるようです。市内にはご存知「連尺本店」がありますが、「本店」の名はこちらからは消えてしまうのでしょうか。
作者:urag
更新日:2008年12月17日 10時6分
月曜社は08年12月7日で創業満八周年を迎えました
毎年恒例の自己スルーどころか、昨年の七周年の折に「08年」と誤記していたことに一年間も気づかなかった馬鹿野郎こと私めでございますが、先週の日曜日の12月7日は、弊社の創業記念日でした。満八周年になります。ご挨拶が遅くなりましてすみません。皆様の日ごろのご愛顧に篤く御礼申し上げます。これからもいっそうがんばります。
十周年の折にはなんとか初の図書目録を作ってみたいものです。しかし昨今、金融不況が出版書店業界にも響いてきて、色んな噂を聞いたりするにつけ、十周年までのこれからの二年間、大きな再編や変動が業界を襲うんじゃないか、というような不安もあったりします。この年の瀬も、大阪屋さんの5億円緊急増資とか、文教堂さんの新年会が中止とか、徴候的なニュースが目立ちます。さらに突っ込んで見たい方は「新文化」誌の決算特集などをご覧下さい。本当にどうなることやら……。
2008年に出版した本
自社発行
2月:澤田サンダー文・増山麗奈絵『幼なじみのバッキー』【日本文学・芸術】
3月:ジャック・デリダ『条件なき大学』西山雄二訳【フランス現代思想】
6月:洲之内徹『洲之内徹文学集成』【日本文学】
8月:ジュディス・バトラー『自分自身を説明すること』佐藤嘉幸・清水知子訳【アメリカ現代思想】
11月:今福龍太『ブラジルのホモ・ルーデンス』【カルチュラル・スタディーズ】
自社重版
1月:ポール・ギルロイ『ブラック・アトランティック』3刷【カルチュラル・スタディーズ】
6月:パオロ・ヴィルノ『マルチチュードの文法』2刷【イタリア現代思想】
11月:森山大道『新宿+』2刷【写真】
12月:ジョルジョ・アガンベン『バートルビー』2刷【イタリア現代思想】
発売元請負
4月:『表象02』表象文化論学会発行【哲学思想】
以上、自社本5点、発売元請負1点でした。
作者:urag
更新日:2008年12月15日 1時9分
注目新刊:タルド『社会法則/モナド論と社会学』河出書房新社

ガブリエル・タルド(1843-1904):著 村澤真保呂(1968-)+信友建志(1973-): 訳
河出書房新社 08年12月 本体3,800円 46判上製268頁 978-4-309-24459-4
■帯文より:あらゆる事物は社会であり、あらゆる現象は社会的事実である。タルドが主要著作をみずから要約した『社会法則』、その特異な方法論をあきらかにした『モナド論と社会学』。ますます新しい「無限小」の社会学者タルドのエッセンス。
★まもなく発売開始(08年12月19日)です。『模倣の法則』につづくタルド新訳第二弾。帯文にある通り、『社会法則』はタルド社会学の要約で、『模倣の法則』『普遍的対立』『社会論理』の主題を要約し、三著作の緊密な関連を明らかにしたものです。タルドを読み始めるにはこの『社会法則』から読み始めるのが一番だと思います。
★『社会法則』は1897年の連続講義がもとになっていますが、全く古さを感じさせません。フランスではドゥルーズの弟子のエリック・アリエズが監修したタルド著作集が90年代末から刊行されていますし、今回の新刊の訳者の一人である村澤さんはタルドに影響を受けているマウリツィオ・ラッツァラートの『出来事のポリティクス』を今年六月に洛北出版から刊行されています。
★写真の左側は昭和18年(1943年)1月に創元社から刊行された、小林珍雄訳『社会法則』です。当時は初版5000部も刷っていたことが奥付で分かります。私が本書を購読したのは20年近く前の学生時代のことです。当時は新刊書店で入手できるタルドの訳書は『世論と群集』(未來社)しかありませんでしたし、地元の図書館にはもとより置いてありませんでしたから、あとは古本屋を探すしかありませんでした。創元社版『社会法則』は古い本でしたが、とても刺激的な内容で、むしろ時代を超えた新鮮味を感じました。たとえば社会のダイナミズムを捉えた次のような一節(引用は河出版新訳からです)。
★「したがって、差異が増大していくと述べるのは真実ではない。というのも、新しい差異が出現するたびに、古い差異は消えていくからである。このような考察を念頭におくと、(かりに共通の尺度がない事物を合計することができたとして)「世界全体における差異の総和は増大していく」という考えにはまったく根拠がないことになる。むしろこの世界に起こっているのは、たんなる差異の増大よりも、はるかに重大な事実である。すなわち、差異そのものの差異化である。この世界では変化そのものが変化に向かっており、ある意味でわれわれは、むきだしの差異――けばけばしい原色のような――がちりばめられた時代から、繊細な差異が調和する時代へと導かれているのである」(120頁)。
★創元社版小林訳と比べると、いっそう理解しやすい訳文になっていて、好感を持ちました。併録されている「モナド論と社会学」は初訳です。訳者解説によれば、「タルドの著作のなかでもっとも原理的な内容であり、本書によって『模倣の法則』や『社会法則』をよりよく理解することができる〔中略〕。実際、『社会法則』の終わりのほうで展開されるタルドの思想的原理は、本書をそのまま参照したものであり、その意味では本書と『社会法則』は表と裏の関係になっている」(258頁)とのことです。確かに、例えば次のような一節が眼に留まります。
★「諸科学から社会学的精神を抽出することは、とりわけ私が戦っている偏見から諸科学を救い出すことになるのだ。そのとき人々は、この偉大で美しい差異化の原理を理解しなければならない理由を知ることになるだろう。おめでたいことにスペンサーは、この差異化の原理を拡大しても、それをふさわしい仕方で普遍的調和の原理と和解させようとはしなかったのである」(181頁)。
★こうも書かれています、「存在すること、それは差異化することである」。「差異は宇宙の始まり〔アルファ〕であり、終わり〔オメガ〕である」(ともに184頁)。タルドは20世紀後半に欧米で花開くことになる「差異の哲学」の先駆者だと言えるだろうと思います。願わくば今後もタルドの新訳が進み、新しい読者と出会い続けることを期待してやみません。
作者:urag
更新日:2008年12月14日 22時25分
注目新刊:『まんがで読破 資本論』『共産党宣言・共産主義の諸原理』

マルクス:原作 バラエティ・アートワークス:企画・漫画
イーストプレス 08年12月 本体552円 文庫判192頁 978-4-7816-0021-5
■カバー紹介文より:金が何でできているか知ってるか? 19世紀前後に起こった産業革命以後、工業化により商品の大量供給が可能になったが、貧富の差はますます広がり、人々の生活は豊かになるどころか苦しくなるばかり。労働者を酷使する生産過程の中で新たな価値を生み出す「搾取」のシステムが明らかになる・・・。資本主義社会に生涯をかけて立ち向かった革命家・マルクスの代表作を漫画化。
★売行好調と聞く「まんがで読破」シリーズの最新刊はなんとマルクス『資本論』。同シリーズでは小林多喜二『蟹工船』が刊行されていますし、海外の人文系古典でもマキアヴェッリ『君主論』、ニーチェ『ツァラトゥストラかく語りき』といった漫画化がまったく予想できない名著から、ヒトラー『わが闘争』といった奇書までもが刊行されています。続刊予定にはキェルケゴール『死に至る病』も。学術系の編集者なら敬遠するであろう大作や問題作や難解な著書の翻案に大胆にも挑戦する姿勢には注目すべきものがあります。
★巻末に記載された、「まんがで読破」編集部による注記にはこうあります、「このまんがは原書『資本論』の主に第一巻をベースにして物語化したものです。原書の『資本論』は資本主義の解明だけにとどまらず、革命的な思想や哲学がもりこまれた大著となっております。本書が足がかりとなり、原書の橋渡しになることを切に願っております」。
★漫画化された『資本論』は「資本の生産過程」「搾取」「労働の売買」「価値」の四部に分かれ、一貫したストーリーで資本主義の残酷な現実を描写しています。難解さはなく、「労働力という商品を安く買い叩くことによって会社(より正確には株主)が儲かる」という現実は今なお私たちが生きている当のものであることがよくわかります。物語の最後に出てくる、解雇された労働者の街頭での叫び「俺たちは奴隷じゃない」は、現代社会における労働者の魂の声でもあるでしょう。
★誤解のないようにしなければなりませんが、この漫画化は、複雑で膨大な『資本論』を教科書風にまとめなおして図示したものではありません。『資本論』のいくつかのモチーフを抽出して、それを分かりやすく説明するためにオリジナルのフィクションに託してみた「別物」です。『資本論』の概要が分かるように作られたものというよりは、編集部が言うように「足がかり」として、読者にとって原典へ近づくきっかけになれば、という意図のもの。このシリーズに対して原典への忠実さを求めたり、忠実でないからと言って責めるのはいささか不毛だと思います。確かにシリーズ名にある「読破」という惹句やシリーズに共通した帯文の「徹底漫画化」という宣伝文句には若干語弊があるかもしれませんが。
★本書を読んで、『資本論』原典に興味を抱いて直ちに購読しようとは思っても、実際はなかなか決心がつかないかもしれません。というのも、もっとも廉価な岩波文庫版ですら全九分冊の大著ですし、揃いで買うと約8500円になりますし、内容は難解でマンガを読むようにはとうていいきません。とりあえず議論の中心になっている第一部(マルクス自身が生前に仕上げたのは全三部のうち第一部のみ)だけでもチャレンジしてみよう、という場合は、岡崎次郎訳『資本論』第一巻~第三巻(国民文庫)と、今村仁司ほか訳『資本論第一巻』上下巻(筑摩書房)をお奨めします。いきなり原典にいくのは辛いという方には、的場昭弘『超訳「資本論」』(祥伝社新書)をお奨めします。
共産党宣言・共産主義の諸原理カール・マルクス/フリードリヒ・エンゲルス:著 水田洋:訳
講談社学術文庫 08年12月 本体960円 A6判282頁 978-4-06-291931-9
■帯文より:貧困と不平等を超克した理想の社会へ「すべての国の労働者よ、団結せよ!」
■カバー紹介文より:1848年の二月革命前夜、プロレタリアートたちが掲げたマニフェストに力強く簡潔な表現で謳われていた、来るべき社会の理想。そして21世紀の現在、今なお世界に蔓延する格差や不均衡に直面する我々に向けて本書が放つ変わらぬ光は、重要な示唆に富む。社会思想史の泰斗による平易な訳に丁寧な解説を施し、近代を代表する不朽の古典が蘇る。
★1972年に講談社文庫の一冊として刊行されたもの(写真左)の改訂版です。訳者の水田洋(1919-)さんと言えば、アダム・スミスやホッブズの翻訳などでも知られています。今回の再刊にあたっては巻末に「あとがき」が加えられていますが、ごく簡潔な覚書と謝辞のみになっています。
★『共産党宣言』が新たに読まれるようになったきっかけのひとつは、91年の年末にソ連が崩壊し、その二年後の93年10月に金塚貞文訳『共産主義者宣言』が柄谷行人の「刊行に寄せて」を付して太田出版から発売されたことではないかと思います。共産主義が「終焉した」とされた当時こそ、偏見のない再評価のスタートラインにつけるのだという認識が、柄谷さんと浅田彰さんが率いる『批評空間』誌にはあったと思います。現実にある政党とは無関係に読み直すという意義は、「共産党」ではなく「共産主義者」とした新訳に表れています。その後99年6月に刊行された『批評空間』第Ⅱ期第22号では「世界資本主義からコミュニズムへ」と題された共同討議が掲載され、同年99年12月には柄谷行人編『可能なるコミュニズム』が太田出版から刊行されました。共産主義という手垢のついた言葉を、カタカナの「コミュニズム」と言い換えたことも一つの戦略ではあったと思います。さらに、00年12月にはスラヴォイ・ジジェクが『共産党宣言』刊行150周年記念版(98年にザグレブで刊行)に付した論文「いまだ妖怪は徘徊している!」が長原豊訳で情況出版より刊行され、01年9月に柄谷行人さんが『トランスクリティーク――カントとマルクス』を批評空間から刊行、03年1月に以文社より出版されたネグリ/ハートの『〈帝国〉』が大きな話題を呼び、昨今では小林多喜二『蟹工船』がベストセラーになるに至って、共産主義=コミュニズムが「再ブーム」化しうる社会が到来した、と言えるようになってきました。いえ、正確に言えば、新自由主義下の格差社会の実態が露呈してきたからこそ、そうした書籍群も注目されてきたわけです。
★『共産党宣言』はあくまでも宣言ですから、マルクスの思想の細部までは詳述されていません。その意味では水田訳の文庫ではエンゲルスによる「共産主義の諸原理」が併録されていて、問答形式で共産主義の何たるかが簡潔に示されていますから、理解をいっそう深めることができるだろうと思います。ただし、「諸原理」でも明らかにされていない論点が複数あり、さらにマルクス『資本論』でも、資本主義社会の消滅後に到来する共産主義社会が詳述されているとは言えないため、コミュニズムの現実的細部というのは今なお現代人の「宿題」として残されたままです。貧困や不平等が克服された社会、弱者からの搾取が廃絶された社会、そうした理想社会に至るための闘争の途上に人間がある限り、マルクスは何度でも再来するはずです。
共産党宣言 彰考書院版
マルクス+エンゲルス:著 幸徳秋水+堺利彦:訳
アルファベータ 08年11月 本体900円 四六判並製128頁 978-4-87198-300-6
■帯文より:資本主義が暴走したいまこそ、読むべき時。世界で「聖書」の次に多く読まれ、半世紀前の日本で100万部突破。大逆事件で死刑となった幸徳秋水と、日本社会主義運動の父、堺利彦が弾圧にも挫けず、情熱を込めて訳した不朽の名訳。
■版元紹介文より:当社アルファベータは、彰考書院の経営者の孫が経営している出版社です。このたび、「いまこそ、読むべき時」との思いも強く、半世紀ぶりに復刊いたします。19世紀半ばの社会分析が、今の時代を鋭く言い当てていることに驚かされます。そして明治の時代、敗戦直後の時代、私たちの祖父の時代の歴史の断面と、その情熱を感じていただければ幸いです。
★「現代かな遣い、ルビ付に改定して復刊」されたものです。アルファベータのウェブサイトに「当社及び本書は、日本共産党とは何ら関係がありません」と明記されている点が、代表者中川右介さんのこだわりを感じさせます。中川さんは本書の巻末に「ある左翼出版人の略伝」という文章を寄せられており、そこにはこう書かれています、「祖父〔藤岡〕淳吉の時代、革命運動とはイコール出版活動でもあった。だがこんにちの「運動」ではインターネットが紙の出版にかわろうとしている。それは分かっている。しかし、あえて、紙に印刷することにこだわってみたかった。〔中略〕ネット上の情報は、管理者の気まぐれで消されてしまえば、それっきりだが、本は、たとえ著者が死のうが出版社が倒産しようが、数十年は「もの」として存在し続ける」(126-127頁)。
★これらの言葉に私個人は大いに共感します。こんにちの業界において、出版活動と革命運動を結びつけることはほとんど一笑に付される主張かもしれませんが、私自身はこの二つを別々のものだと割り切ることはしたくありません。好むと好まざるとに関わらず、出版活動というものは大小の「文化戦争」に巻き込まれており、その現実を否定するのは実際のところナンセンスなのです。また、紙媒体が徐々に滅んでいき、電子媒体が主流化しつつあるように見える昨今でも、単独のモノとしての紙媒体のシンプルなしぶとさには、様々な周辺機器や電力を必要とし単独のモノとしては肉眼のみで読まれ得ない電子媒体の脆さや利便性と表裏一体の不便さよりは、いっそう生き残れる可能性があります。より古くからあるメディアの方が今後も存続する可能性があるのです。もっと言えば、紙の本よりうんと古い石版のほうが絶対的に耐久性において優れています。電子情報や紙の本が地上からすべて消えても、石版は残るでしょう。現代社会の情報基盤というのは実は脆弱なもので、いつ消えてなくなっても不思議ではないのだということを、忘れてはならない気がするのです。
作者:urag
更新日:2008年12月14日 0時47分
注目新刊:08年12月5日~10日発売分より
◎08年12月5日発売分
困難な自由〔増補版・定本全訳〕 エマニュエル・レヴィナス著 合田正人監訳 三浦直希訳 法政大学出版局 本体4,700円 978-4-588-00905-1
古代の立柱祭祀 植田文雄(1958-)著 学生社 本体2,200円 978-4-311-20323-7
平安時代の宮廷祭祀と神祇官人〔改訂増補〕 藤森馨(1958-)著 原書房 本体3,800円 978-4-562-09126-3
NPO新時代――市民性創造のために 田中弥生著 明石書店 本体2,000円 978-4-7503-2879-9
地デジ利権――電波族官僚うごめくテレビ事情 世川行介(1952-)著 現代書館 本体2,000円 978-4-7684-6982-8
学力と階層――教育の綻びをどう修正するか 苅谷剛彦(1955-)著 朝日新聞出版 本体1,800円 978-4-02-330405-5
◎08年12月6日発売分
生きさせる思想――記憶の解析、生存の肯定 雨宮処凛(1975-)+小森陽一(1953-)著 新日本出版社 本体1,400円 978-4-406-05215-3
人は月に生かされている――再生する月・甦るいのち〔新版〕 志賀勝(1949-)著 新曜社 本体2,400円 978-4-7885-1142-2
拡散する音楽文化をどうとらえるか 東谷護(1965-)編著 勁草書房 本体2,800円 978-4-326-69861-5
アイヌ文化の成立と変容――交易と交流を中心として(上)エミシ・エゾ・アイヌ 榎森進+小口雅史+澤登寛聡編 岩田書院 本体9,500円 978-4-87294-531-7
アイヌ文化の成立と変容――交易と交流を中心として(下)北東アジアのなかのアイヌ世界 岩田書院 本体12,000円 978-4-87294-532-4
◎08年12月8日発売分
山口組概論――最強組織はなぜ成立したのか 猪野健治(1933-)著 ちくま新書 本体780円 978-4-480-06463-9
◎08年12月9日発売分
DV・虐待加害者の実体を知る――あなた自身の人生を取り戻すためのガイド ランディ・バンクロフト著 高橋睦子+中島幸子+山口のり子監訳 明石書店 本体2,800円 978-4-7503-2890-4
身体とアイデンティティ 礫川全次(1949-)著 批評社 本体2,000円 978-4-8265-0494-2
霊符全書 大宮司朗著 学研 本体2,300円 978-4-05-403974-2
鎮護国家の大伽藍・武蔵国分寺 福田信夫(1951-)著 本体1,500円 978-4-7877-0932-5
◎08年12月10日発売分
私はガス室の「特殊任務」をしていた――知られざるアウシュヴィッツの悪夢 シュロモ・ヴェネツィア(1923-)著 鳥取絹子訳 河出書房新社 本体2,000円 978-4-309-22495-4
熱学思想の史的展開(1)熱とエントロピー 山本義隆著 ちくま学芸文庫 本体1,400円 978-4-480-09181-9
共産党宣言/共産主義の諸原理 カール・マルクス/フリードリヒ・エンゲルス著 水田洋訳 講談社学術文庫 本体960円 978-4-06-291931-9
連帯経済の可能性――ラテンアメリカにおける草の根の経験 アルバート・ハーシュマン(1915-)著 矢野修一+宮田剛志+武井泉訳
法政大学出版局 本体2,200円 978-4-588-60305-1
パスポートの発明――監視・シティズンシップ・国家 ジョン・トーピー(1959-)著 藤川隆男監訳 法政大学出版局 本体3,200円 978-4-588-60304-4
作者:urag
更新日:2008年12月10日 22時59分
本日発売:ジャン・ジュネ『花のノートルダム』新訳、河出文庫より
花のノートルダム
ジャン・ジュネ(1910-1986):著 鈴木創士(1954-):訳
河出文庫 本体1,200円 文庫判408頁 978-4-309-46313-1
■カバー紹介文より:「ジュネという爆弾。その本はここにある」(コクトー)。「泥棒」として社会の底辺を彷徨していたジュネは、獄中で書いたこの一作で「作家」に変身した。神話的な殺人者・花のノートルダムをはじめ汚辱に塗れた「ごろつき」たちの生と死を燦然たる文体によって奇蹟に変えた希代の名作が全く新しい訳文によって甦る。
■原著:Jean Genet, Notre-Dame-des-Fleurs, Paris, 1948.
★堀口大学(1892-1981)による初訳(単行本1953年、全集版67年、文庫版69年、すべて新潮社)からはや半世紀、ついに新訳が出ました。獄中で執筆された彼の最初の小説です。写真下段右がこのたびの河出文庫版、左が新潮文庫版です。そして上段は、ジュネの小説同様に怪物的な、サルトルのジュネ論『聖ジュネ』(全二巻、新潮文庫、白井浩司・平井啓之訳、1971年)※です。新潮文庫の『花のノートルダム』と『聖ジュネ』は現在入手不能。
ジュネの小説や戯曲は『ジャン・ジュネ全集』(全4巻、新潮社、初版1967-68年/再版1992年)に収められており、中でも『花のノートルダム』『ブレストの乱暴者』『葬儀』は河出文庫で、『泥棒日記』が新潮文庫で入手できますが、彼の晩年の政治的活動を知るためには、『恋する虜』や『公然たる敵』といった著書を読まねばなりません。『恋する虜』は人文書院版が来年には復刊されると聞きますし、『公然たる敵』は弊社から刊行予定です。また、ジュネの伝記としては、エドマンド・ホワイトによる『ジュネ伝』(全二巻、河出書房新社、2003年)が高名です。
***
※『聖ジュネ』は原著が1952年刊で、日本語訳としてはいずれも白井浩司・平井啓之訳の、初訳単行本『殉教と反抗』(全二巻、新潮社、1958年)もサルトル全集版『聖ジュネ』(全二巻、人文書院、1966年)も、文庫版『聖ジュネ』(全二巻、新潮文庫、1971年)が刊行されていますが、残念ながらすべて絶版で、古書市場でも探すのが非常に面倒な本の類です。『存在と無』(全三巻、ちくま学芸文庫、2007-08年)や『弁証法的理性批判』(全三巻、人文書院、1962-1973年)などの哲学的代表作に対し、『聖ジュネ』は『家の馬鹿息子』(訳書第三巻まで刊行、人文書院、1983-2006年)と並ぶ文芸批評の代表作です。いずれも浩瀚かつ難解ですが、やはり代表作は文庫本で読めるようになるといいなと思います。
作者:urag
更新日:2008年12月9日 2時25分
伊賀大介(スタイリスト)×井野朋也(ベルク店長)トークセッション@ジュンク堂書店新宿店
JR新宿駅東口改札のすぐそばにある大衆飲食店「ベルク」の店長である井野朋也さんが書いた『新宿駅最後の小さなお店ベルク――個人店が生き残るには?』(ブルース・インターアクションズ、08年7月)の刊行からはや4ヶ月以上。ついに井野店長がトークセッションに出るそうです。上記本は、零細企業においてお店の個性とお客様とのあいだの距離感をどう適度に心地よくつくるか、お店そのもののクオリティをいかに保ち、さらにそれを日々磨いていくか、そして家主である大企業(ルミネ=JR)といかに渡り合っていくかということが、井野さんのパートナーである迫川副店長の筆も一部借りて、「存続の危機」問題も含め、赤裸々に語られています。飲食業の話ではありますが、出版/書店業界にも通じる、骨のある実地経営論に貫かれていて、私自身は「店の思想」として非常に面白く読みました。皆様に広くお奨めします。
◎伊賀大介(スタイリスト)×井野朋也(ベルク店長)トークセッション「新宿、ファッション、インディーズカフェの魅力を語る!~たくさんの人。それぞれのやり方。みんなの居場所。昼からビール飲みてぇ。ンマー!!(C)まんが道」
日時:12月12日(金)18:00開場 18:30スタート
会場:新宿三越アルコット8F「ジュンク堂書店新宿店・喫茶コーナー」
参加費:1000円
定員:60名(定員になり次第〆切になります)
お申込みは、ジュンク堂書店 新宿店7Fカウンターにて
またはお電話でのご予約も承ります。(TEL 03-5363-1300)
伊賀大介:
新宿生まれ、新宿育ち。スタイリスト。1996年、スタイリスト熊谷隆志氏に師事。1999年、スタイリストとして活動開始。ファッション誌、ミュージックビジュアル、 広告の他、最近では映画や舞台へも活動の幅を広げる。「MEN'S NON-NO」にて“伊賀文庫”、「papyrus」にて“人間万事塞翁が伊賀”を連載中。
井野朋也:
1960年東京都新宿生まれ。新宿育ち。早稲田大学社会科学部卒業後、塾講師を経て、1990年より新宿駅ビル地下のビア&カフェ「ベルク(BERG)」の経営者・店長。
作者:urag
更新日:2008年12月9日 0時2分
増山麗奈アートフェア@紀伊國屋書店新宿本店3F
◎画家・増山麗奈アートフェア「麗奈タン トポス★ビッグバン!!」――超左翼マガジン「ロスジェネ」2008年流行語大賞ノミネート記念
日時:08年12月1日(金)~12月14日(日)
場所:紀伊國屋書店新宿本店3F
内容:世界同時大恐慌! 貧困、戦争、環境破壊。どーなる!? ボクたちの未来……新自由主義が崩壊した後の世界を「ロスジェネ」編集委員で画家の増山麗奈が描く。アメリカの経済学者ミルトン・フリードマンに関する新作絵画などを展示・販売します。堤未果、志葉玲、辻信一など次の一歩を踏み出した人々の書籍も紹介。電気料金値上げおかしくない? みんなのエネルギーデモ映像DVDボックスも。

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★特別企画!!!★
大好きな人へのクリスマスプレゼントに世界で一枚の肖像画を贈りませんか? 増山麗奈による「愛を込めた描きおろし肖像画」、限定20名様まで。増山麗奈がお客様の写真を元に描きます。アートフェア会期中にお申し込みいただければ12月22日までに仕上げます。1万円より。
▼料金表
1)モノクロ シンプル額 10000円
2)モノクロ マット付き+豪華額 20000円
3)カラー シンプル額 40000円
4)カラー マット付き+豪華額 50000円
注)基本的には絵のサイズはA4になります。マットが付く場合額のサイズはワンサイズ大きくなります。
注)額は基本的には写真にあるような生成りの木製、マットは白色を使用します。もし額の色や素材、マットの色を変えたい場合はご相談ください。
注)モノクロバージョンは、最高級水彩紙にペンと水彩、カラーバージョンは、最高級水彩紙に水彩とパステル、で仕上げます。
注)別途消費税をいただきます。
注)カップルお二人の肖像画が欲しい。サイズを大きく、小さくしたいという場合は別途相談にのります。
■仕上がりまでの流れ
1)紀伊國屋店頭もしくはe-mailでご注文を承ります。
写真をメール、もしくはプリントで渡していただき、「車が好き、赤色が好き、ウエディングドレスを着たい、ひまわりを持ちたい」等々絵への要望を教えていただいて、カラーかモノクロか、または額はどうするかなどお申し込みいただいた段階で確定していただきます。
申し込みメールアドレス renanigaoe@gmail.com
お問い合わせ電話番号 03-3354-5703(紀伊國屋3階直通 担当・大藪)
2)14日までにお申し込みいただければ、12月22日までにお渡しいたします。紀伊國屋店頭での受け渡しでも、郵送でのお渡しでも可能。特注の箱に入れてお渡しします。
3)代金は、店頭受け渡し・郵送のいずれの場合でも、現金/カード両方お使いただけます。


作者:urag
更新日:2008年12月8日 23時14分
アガンベン+メルヴィル『バートルビー』、来週より重版出荷開始
アガンベンの論考にメルヴィル小説の新訳を附した『バートルビー』(05年7月刊)の重版が本日出来上がり、事前にご予約いただいた書店様には、8日(月)から取次搬入開始いたします。働くことを拒絶しながらも職場に居座り、やがて世界の片隅で餓死してしまう小説の主人公の生き様は、発表後150年を経た今もなお鮮烈です。昨今、小林多喜二の「蟹工船」がブームになりましたが、「蟹工船」に描かれた《抵抗と団結》への労働者の道のりとは違って、一生懸命自分の仕事に没頭していたバートルビーはある日突然、職場での簡単な手伝いを拒んだのをきっかけにして、やがて自分の職務そのものもやめてしまいます。その《拒絶と孤独》のありようというのは、現代人への黙示録のように映ります。
アガンベンはバートルビーをあらゆる可能性の全的回復者とみなします。アガンベンの議論というのは、現実として顕在化したものが世界のすべてなのではなく、現実の奥底にすでに潜在的に実在するものが確かにあって、いまだ到来していないけれども「存在しない」とまでは否定できない、というような、そうした物事について書いているように私個人は読みました。つまり、人間が本来持っている可能性というのは、《できない》という否定形としてよりも、「ないことが《できる》」という肯定においてこそ捉えることのできるものだ、とアガンベンは言っているように思います。「もうひとつの世界は可能だ」とでもいうような、ひとつの希望です。
バートルビーのような絶望の物語に、希望を読み解こうとしたアガンベンが、私にはとても重要に見えます。彼は皮肉を書いたのではないのです。絶望をそっくりそのままあらゆる希望へと反転させるということ。キリストでも救世主でもないバートルビーにおいてすら「すべての希望が担保されている」ということを、アガンベンは言いたかったのではないかと私は考えています。
書店様へ。弊社では重版および新刊のご案内をFAXないしEメールでご案内しています。「そんなのもらったことないけど、チェックしてやってもいいぞ」という書店様は、弊社へ電話、FAX、メールなどでお申し付け下さい。電話/FAX番号やメアドは、弊社の公式ウェブサイトに明記してあります。
メルヴィルの「バートルビー」は今世紀に入ってから映画で実写化されたことがありました。2001年のアメリカ映画で、ジョナサン・パーカー監督の「バートルビー」(83分)がそれです。上記映像はその予告編。クリスピン・グローヴァーが主人公バートルビーをつとめていて、まさに小説で描かれているような風貌で怪演しています。グローヴァーと言えば、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の気弱なお父さん役や「チャーリーズ・エンジェル」のマニアックな用心棒役で日本でも一般的に知られていると思います。映画を製作したパーカー・フィルム・カンパニーでは「バートルビー」のTシャツや奇妙なサントラの音楽CDを販売していて可笑しいです。弊社でもTシャツを作ろうかな、「I would prefer not to」っていう。
作者:urag
更新日:2008年12月5日 1時46分
注目新刊:08年12月4日発売分より
◎08年12月4日発売分より
この時代の遺産
エルンスト・ブロッホ:著 池田浩士:訳
水声社 本体7,000円 A5判677頁 978-4-89176-684-9
■版元紹介文より:なぜファシズムが勝利するのか? サラリーマン文化、表現主義、シュルレアリスム、オカルト、ヴァーグナー、ニーチェ、ブレヒト、ベンヤミン、そして映画……。“黄金の1920年代”に民衆を陶酔させたサブカルチャーをモンタージュし、ナチス政権前夜の危機の瞬間=空洞をとらえた《思想的実験》。訳文を全面的に再検討し、大幅に註を加えた決定版。
■主要目次:塵埃/サラリーマンと気散じ/非同時代性と陶酔/大ブルジョワ階級、即物性とモンタージュ/補遺――一九六二年の増補版より
★三一書房版(82年5月刊)→ちくま学芸文庫(94年11月刊)→水声社版(08年12月刊)。
ナチズム――地獄と神々の黄昏
エルンスト・ブロッホ(1885-1977):著 池田浩士訳+藤原辰史+本庄史明:訳
水声社 本体4,500円 A5判417頁 978-4-89176-685-6
■版元紹介文より:正面の敵、ナチス。――ナチズム・ファシズムはいかにして批判可能なのか?「もはや意識されていないもの」と「まだ意識されていないもの」をキーワードに、ヒトラー政権下の日常を同時代の現場から検証し、瞞着者たちの暴力と野蛮をあばきだした稀有な《思想的実践》。名著『この時代の遺産』につづくブロッホの1930年代論集、本邦初訳。
■収録論文:道をあけろ/昼と闇/忘れずになさい、贈りものをなさい、目覚めなさい、祈りなさい/みなさん、正確な時刻をお知らせします/血の旗と生家/非現実の突飛さによせて/ドイツの魔女裁判/威嚇する音楽/第三帝国の女性/新貴族/研究者、瞞着者、破廉恥プラグマティズム/ヒトラーの「文化闘争」、お偉い坊主とキリスト教徒/非合理主義者たちの競技大会/道をあけろ、お前こそ/ヘロデ王と光/英語の動詞「検討する」/安上がりな盟邦たち/ナショナリストとしての太守フランコ/ナチと言い表わしようのないもの/理想の回帰/知識人と政治/ウィルソンの亡霊/危険な賭けから破局へ/永続的な爆発/悲観主義の不当/変節者たちの記念日/モラルの救出/ナチスとその「新異教主義」/ヒトラーの敬虔さ/トーマス・マンのマニフェスト/例外としての民主主義/民主主義と天賦の才/メネニウス・アグリッパの寓話、あるいは最古の社会的噓のひとつ/ナチスの方法論によせて/純粋な配慮/アメリカ作家会議での挨拶/プラハの思い出/平和による瞞着/破壊された言語――破壊された文化
***
◎注目近刊
08年12月上旬配本
タルコフスキイの映画術
アンドレイ・タルコフスキイ:著
水声社 本体2,500円 978-4-89176-683-2
■版元紹介文より:世紀を超え、国家を超え、いまなお観客の魂を魅了する映像作家、タルコフスキイ。映画に対する情熱から、作劇、演出の実際にいたるまで、現在に遺されたソ連時代の肉声を集成し、《映像詩人》の原点に迫る貴重な映画論集。
09年1月刊行予定
感情の闘争(仮)
岡崎乾二郎:著
青土社 本体予価2,600円
ソックスの場所
C・マラッツィ:著 多賀健太郎:訳
青土社 本体予価2,400円
★クリスチャン・マラッツィ(1951-)は、エーコ、ネグリ、アガンベン、カッチャーリ、エスポジト、ヴィルノ、ラッツァラートらに続くイタリア現代思想の注目株。本書は彼の著書の中で一番有名な本。ほかにも他社から邦訳が出ると聞いているので、今後の展開が楽しみ。
***
◎注目の「アンケート結果」
「Business Media 誠」07年11月6日配信の記事「社員として誇りを感じられない業種は?」によれば、ネットマイルによるインターネット調査(08年10月12日~16日)で、「社員であることに誇りを感じているか」どうかのアンケートに、会社で働いている2077人から回答(男性64.3%、女性35.7%)を得たところ、誇りに感じていない人が一番多いのは、「マスコミ・広告・出版・印刷系」が他業種と比して63.7%とトップだったそうです。
今年もネットマイルが08年11月7日~17日の調査で5635人(男性66.3%、女性33.7%)から回答を得たところ、今度は不名誉な上位には食い込まなかったようです。ちなみに06年11月の調査では、「マスコミ関連の社員が“誇り”を感じているという回答は、24.1%で2番目に多かった」そうで、官公庁関連の職員は、3年連続で“誇り”を感じている人が最も多いという結果。マスコミ関係の今年の不名誉は、目標に向かって組織が一丸となっていますか、という質問に対し「そう思わない」と答えた人が、「運輸・鉄道、配送・物流」の44.4%、以下「マスコミ・広告・出版・印刷」が43.9%と第二位だったこと。同サイト08年12月4日配信の記事 「会社を辞めたい……そう感じる人が多い業種」をご参照ください。
作者:urag
更新日:2008年12月4日 23時47分
注目新刊:08年12月3日発売分より
◎08年12月3日発売分
眠らない――不眠の文化
エルンド・サマーズ‐ブレムナー:著 関口篤:訳
青土社 本体2,200円 四六判252頁 978-4-7917-6449-5
■版元紹介文より:24時間営業と深夜労働で不夜城の大都会、交錯するメディア活動、瞬時の応答を迫るIT通信、グローバリゼイションなどの大洪水に、消滅せんばかりの夜の静寂と沈黙。睡眠と覚醒の境界が崩れた今日、眠らない/眠れない人々の大量出現は、如何なるライフ・スタイルと新たな文化を構築するのか。不眠を神憑きと見る習俗、古典文学・芸術から現代医学まで魅力あふれる知見を動員し、寝る間も惜しい、斬新で画期的な現代社会論。
東京裁判における通訳
武田珂代子:著
みすず書房 本体3,800円 四六判248頁 978-4-622-07422-9
■版元紹介文より:新しい次元に進む精緻な東京裁判研究の嚆矢として贈る意欲作。法廷におけるリアルなコミュニケーション過程を明らかにする。
日本中世史事典
阿部猛(1927-)+佐藤和彦(1937-2006):編
朝倉書店 本体25,000円 A5判920頁 978-4-254-53015-5
■版元紹介文より:日本および日本人の成立にとってきわめて重要な中世史を各章の始めに概説を設けてその時代の全体像を把握できるようにし,政治史,制度史,社会経済史,生活史,文化史など関連する各分野より選んだ約2000の事項解説によりわかりやすく説明。研究者には知識の再整理,学生には知識の取得,歴史愛好者には最新の研究成果の取得に役立つ。鎌倉幕府の成立から織豊政権までを収録,また付録として全国各地の中世期の荘園解説と日本中世史研究用語集を掲載する。
新宗教の本
島田裕巳+藤巻一保+豊嶋泰國:著
学研 本体1,300円 A5判230頁 978-4-05-605214-5
■版元紹介文より:明治以降、陸続と登場した新宗教の系譜を総紹介する一冊。生き神と崇められた教祖たち、偽史と驚くべき神話、霊的能力の実践、巨大神殿と知られざる秘儀など、新宗教のダイナミズムをさまざまな側面から解説し、巻末には日本の100教団のガイドを収録!
★「ブックスエソテリカ」宗教書シリーズの一冊。巨大教団はともかく100も挙げるとなれば名前を聞いたことのないような団体も多いことでしょう。
日本の「黒幕」200人
宝島社 本体857円 978-4-7966-6704-3
■版元紹介文より:完全保存版「陰の実力者」総登場!
★「別冊宝島」シリーズの1580番。戦後の「黒幕」とされる、児玉誉士夫、笹川良一、許永中、小佐野賢治、田岡一雄、などのほか、ジャンル別「現代の黒幕」も収録しているとのこと。
作者:urag
更新日:2008年12月3日 22時46分
注目新刊:08年12月1日/2日発売分より
◎08年12月1日発売分より
Mémento-Mori
藤原新也(1944-):写真
三五館 本体2,500円 A5判上製176頁 978-4-88320-453-3
■版元紹介文より:25年ぶりに刷新された「メメント・モリ 21世紀エディション」に続き、待望の「インターナショナル・エディション」が登場しました。日英対訳表記のほか、オリジナル版ではトリミングされていた写真周辺部を完全掲載。また「インターナショナル・エディション」で初登場する写真も多数収録されています。著者初の英訳作品。世界に向けて発信されたアジアの感性を感じ取ってください。
★『メメント・モリ――死を想え』既刊情報
初版『メメント・モリ』情報センター出版局、83年2月刊、四六判並製174頁、本体980円→1,009円、ISBN4-7958-0182-0。
新装版『メメント・モリ』情報センター出版局、90年5月刊、四六判上製174頁、本体1,214円、ISBN4-7958-1022-2。帯文「刊行20周年、20万部突破!!」
21世紀エディション『メメント・モリ』三五館、08年11月刊、四六判上製176頁、本体1,800円、ISBN978-4-88320-448-9。新たな言葉21点と、写真22点を追加。
北海道の出版文化史――幕末から昭和まで
北海道の出版文化史編集委員会:編
北海道出版企画センター 本体6,000円 A5判762頁 978-4-8328-0811-9
■版元紹介文より:幕末から150年にわたり他府県と異なる多彩で独自な北海道の出版活動を集成した待望の書!!
■推薦文より:「本書は、幕末~明治・大正にわたる官庁出版物とそれに続く民間出版物、昭和を迎えての出版、さらに戦後、東京を中心に疎開した出版社による活発な出版活動を明らかにし、その後に展開した北海道の出版状況を詳述した良書である。図書館の書架に、出版に関心をもつ方、好書家など、多くの人々の座右に備えて欲しい一冊です」(地方・小出版流通センター代表・川上賢一)。
★戦後に複数存在した北海道の純文学系の出版社に大きな興味を持っていたので、こうした詳細史は貴重な資料として注目しています。
◎08年12月2日発売分より
パラダイス・イデオロギー
渡邉博史:写真
窓社 本体3,800円 A4判119頁 978-4-89625-091-6
★現在の北朝鮮の人々を写した写真集だそうです。今秋銀座で開かれていた展覧会「Ideology in Paradise」を受けて出版されるものかと思います。
作者:urag
更新日:2008年12月3日 1時37分
新規開店情報:月曜社の本を置いてくださる予定の本屋さん
これから開店する本屋さんで、弊社の本を扱ってくださる予定のお店を順次ご紹介しております。お近くにお越しの際はどうぞお立ち寄りください。更新を怠っていたらすでに開店した店舗もあるようです。
08年11月26日
夢屋書店浜北店:図書180坪
静岡県浜松市浜北区貴布祢1200番地 アピタ浜北店2F
ショッピングセンター「プレ葉ウォーク浜北」のメインテナント「アピタ浜北」内に開店。夢屋書店チェーンは、「文化の遊園地」が謳い文句。同じく2Fにはトラベルグッズ&ブック「旅へ」も開店。夢屋さん以上に弊社への発注アイテム数が多いのは光栄なことです。
08年11月30日リニューアル
宮脇書店松本店:図書410坪
長野県松本市出川2-107-1
松本市内では売場面積最大の店舗で、入居しているビルに今秋、スーパーや大型家電店が入り、大幅に売上と集客力がアップしたため、リニューアルとのこと。帳合変更は取次間の昨今の競争激化を窺わせます。
08年12月10日
ジュンク堂書店藤沢店:880坪
神奈川県藤沢氏藤沢559ビッグカメラ7F/8F
地域一番店はJR藤沢駅南口駅前のフジサワ名店ビル2~5Fの有隣堂藤沢店ですが、反対側の北口の駅前に出店です。弊社の本はほぼ全点近く取り扱っていただくことになります。上層階ではありますが、専門書からコミックまで品揃えの豊富さで勝負、といったところかと思います。
08年12月20日
ジュンク堂書店札幌店:1,600坪
北海道札幌市中央区南一条西1丁目
所在地の詳細が出品依頼書には書いてありませんが、「丸井今井」の向かいのビルのB2F~4Fに出店する道内最大級の総合書店で、地下鉄大通駅から近く、大通地下街と直結しているとのことです。書店が集中するJR札幌駅前からは離れていますが、近隣には三越、パルコ、道庁、市役所などがあり、集客を見込んでいるそうです。
JR札幌駅の駅前には紀伊國屋書店札幌本店や同札幌ロフト店のほか、三省堂書店や旭屋書店などもあり、隣接する北大には、北大生協クラーク店という名店もあり、激戦区です。そこから離れた場所へのジュンク堂の出店戦略はどんな結果を生むでしょうか。注目です。私はこの地域での客の流れを知らないので、どういう「戦争」になるやら見当もつきません。地元の皆さんはどうお感じでしょうか。
ところで紀伊國屋書店札幌本店さんの人文書売場では、先月(08年11月)中旬より、「ゼロ年代」コーナーを新設したそうで、どんな棚になっているのか、とても気になります。というのも、先の人文会40周年記念研修会(08年10月24日)では私自身、「ゼロ年代」の棚を、と大勢の書店員さんを前に強くプッシュしたからです。「ゼロ年代」というのは言うまでもなく、宇野常寛さんの『ゼロ年代の想像力』(早川書房、08年7月)での議論を下敷きにしています。これを書店さんの棚作りのためにスイッチして、私自身は、「70年代以降の生まれで、00年代(ゼロ年代)以降にデビューした書き手たち」を「ゼロ世代」と呼んで、書店さんに棚作りを呼びかけました。 札幌本店さんから店頭の写真をいただくことがあったらぜひ拙ブログでご紹介したいと思います。
紀伊國屋書店札幌本店さんの人文書売場では魅力的なブックフェアを毎月展開されています。「今月の哲学者さんこんにちは」という月替わりのフェアがあって、10月中旬~11月中旬までが第12回「ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタイン」で、11月中旬~12月中旬の第13回はここ最近新刊や関連書が矢継ぎ早に出ている百歳の文化人類学者「クロード・レヴィ=ストロース」を展開しています。さらに、12月13日から1月11日までは、2Fイベントスペースで人文・社会科学書専門出版社52社共同企画ブックフェア「2008年刊行 人文社会科学書3,000点フェア」というのをやるそうです。すごいですね。52社という大所帯はいまだかつて聞いたことのない数字ですが、弊社は全然お呼びがかからず。すごいな、52社の中に入らないってのも。
12月4日追記:紀伊國屋書店札幌店人文書担当のIさんから、「ゼロ年代」棚と、「今月の哲学者さんこんにちは」フェアの店頭写真をいただきましたので、掲載いたします。Iさん、ありがとうございました!



作者:urag
更新日:2008年12月2日 1時25分
注目新刊:08年11月29日発売分
◎08年11月29日発売分より ※オンライン書店bk1の登録日を基準にしています。
窓を開けなくなった日本人――住まい方の変化六〇年
渡辺光雄(1942-):著
農山漁村文化協会 本体2,667円 B5変型判168頁 978-4-540-05003-9
■版元紹介文より:縁側や通り土間がなくなり夕涼みをしなくなった日本人。些細な日常生活の起居動作から、モノに振り回される戦後日本のライフスタイルへの反省と「手足を動かす生活」を取り戻す家・住まい方を提案。
★農文協さんの本は、エコブーム以前からエコを志向してきた著者たちの本でいっぱいです。私はたとえばこうした新刊と、ハイデガーの新刊『ハイデッガーの建築論』を並べ、さらに登山家・服部文祥さんの新刊『サバイバル!』やロンボルグ『五〇〇億ドルでできること』、松本哉『貧乏人大反乱』を併売しているような売場を想像します。そこには、ヴァンダナ・シヴァやナオミ・クラインの既刊があり、ワートの『温暖化の“発見”とは何か』や、リンギスの『何も共有していない者たちの共同体』があり、精進料理本と道元の『典座教訓』、貝原益軒の『養生訓』のような古典も置く一方で、毛利嘉孝さんの『はじめてのDIY 何でもお金で買えると思うなよ!』や、野口晴哉『風邪の効用』や、アルセーニエフ『デルス・ウザラ』、カルロス・カスタネダとかも置いてある。雑誌の『風の旅人』や『COYOTE』なども置いてあるといいですね。私のイメージするエコ棚の、ほんの一端ではありますが。
失われた場を探して――ロストジェネレーションの社会学
メアリー・C・ブリントン:著 池村千秋:訳
NTT出版 本体1,900円 四六判250頁 978-4-7571-4206-0
■版元紹介文より:本書は、ハーヴァード大学の社会学者が、独自の聞き取り調査と緻密なデータ分析に基づき、ロストジェネレーション(現在の20代後半~30代前半)を生み出した原因を1990年代の経済・社会の状況にさかのぼって読み解く画期的な書。たんなる現状分析に終わるのではなく、日米の働き方の比較を通してその解決の道筋が示され、若者、先生、企業関係者への暖かなエールで結ばれている点が読みどころ。
フェノロサ夫人の日本日記――世界一周・京都へのハネムーン、一八九六年
フェノロサ夫人(1865-1954):著 村形明子:編訳
ミネルヴァ書房 本体5,000円 A5判284頁 978-4-623-05241-7
■版元紹介文より:明治29年、フェノロサ夫妻は、日本を目指してハネムーン世界一周を敢行。京都には約三カ月滞在し、次々と古社寺を訪れ、多くの人々と交流を持った。古都の自然と風物にふれ、旧跡に親しんだ様子、そして近代都市のたたずまいを楽しむ二人のまなざしを、メアリー夫人の日記はいきいきと伝える。フェノロサ没後百年記念出版。
★アーネスト・フェノロサの妻、メアリー・フェノロサの日記です。本書はシリーズ「人と文化の探究」の第四弾。第三弾のアラン・コルナイユ『幕末のフランス外交官――初代駐日公使ベルクール』も今月刊行されています。
文語訳 ツァラトゥストラかく語りき
ニイチェ:著 生田長江(1882-1936):訳
書肆心水 本体5,200円 A5判480頁 978-4-902854-52-7
■版元紹介文より:日本初のニーチェ全集を個人完訳で果たした生田長江。ニーチェ諸著作のうち『ツァラトゥストラ』だけは文語調の訳文が相応しいという、生田長江あえての選択。
★カバーは先日同書肆から刊行されたブランショ『アミナダブ』と同じ市松模様で、美しいです。帯には「好事家に捧ぐ希書」とあります。「日本評論社版全集の『ツァラトゥストラ』生田訳最終版を底本として、新漢字・新仮名遣い表記にあらためたもの」とのことです。35年に刊行された『ニイチェ全集』第七巻のことかと思います。サイズが大きい頃の新潮文庫の一冊『ツァラトゥストラ』としても、1937年に刊行されたことがあります。
心理学者、心理学を語る――時代を築いた13人の偉才との対話
デイヴィッド・コーエン:著 子安増生:監訳 三宅真季子:訳
新曜社 本体4,800円 四六判512頁 978-4-7885-1137-8
■版元紹介文より:その研究成果が心理学を超えてひろく一般の人びとの考え方にまで影響を及ぼした、ノーベル賞受賞者を含む著名な心理学者13人に、ジャーナリストで映画監督でもあるコーエンがインタビューして、彼らの生の声を引き出した記録。
★登場するのは以下の13名。サンドラ・ベム、ノーム・チョムスキー、アントニオ・ダマシオ、ハンス・アイゼンク、ジョン・フレイヴル、ヴィクトール・フランクル、ダニエル・カーネマン、R・D・レイン、ハーバート・サイモン、バラス・スキナー、デボラ・タネン、ニコ・ティンバーゲン、フィリップ・ジンバルド。
作者:urag
更新日:2008年11月30日 0時34分