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琉球の海で何が起こっているか
12月9日の琉球朝日放送で米軍潜水艦の琉球近海での活動が活発になっているとの報道がありましたので、お伝えします。
米軍はわがもの顔で琉球の海を自分の海と勘違いしています。自衛隊と米軍との戦闘準備協力関係も強まっており、それが「仮想敵国」との緊張関係をさらに高めています。
ことしに入り急増しているアメリカ軍の原子力潜水艦の寄港についてです。先月18日には、アメリカ海軍の原子力空母と航空自衛隊が沖縄近海で共同訓練を行うなど、軍事的な連携をさらに深める日本とアメリカ。沖縄の海でいったい何がおきているのか?岸本記者のリポートです。
嶺井カメラマン「過去最大級となる原子力潜水艦オハイオが今、ホワイトビーチに姿を現しました」
先月12日、うるま市のホワイトビーチに寄港したオハイオ。その2時間前に寄港したハンプトンの他、日本側への通知なしに入港したプロビデンスなど、原潜の入港回数はこの数年で急増。
去年は24回、ことしは現時点で39回を記録していて、神奈川の横須賀基地や長崎の佐世保基地への寄港回数が序々に減少しているのとはとても対照的です。
寄港増加の理由は何なのか?在日アメリカ軍の調査・研究を行うNPOピースデポの梅林宏道特別顧問はその大きな理由として「中国」に対する警戒をあげます。
ピースデポ・梅林宏道特別顧問「中国が一番気にしているのは、台湾海峡事態が起った時。中国は台湾海峡の制海権を確保して、台湾の独立を阻止するということを計画する訳。アメリカ(軍)は何とかして台湾海峡に入る態勢を確保しないといけない」
梅林さんはアメリカのこの考えは、アメリカ軍がアジアで影響力を保つための一方的な理屈だと指摘します。
梅林さん「アメリカの論理に立てばそうなんです。中国の脅威があるからと言いますが、それが正しい認識かどうかは別問題」
リムピース・頼和太郎さん「正面に見えるのがジョージワシントン原子力空母です。こうして仲間と情報を共有して、毎日どんな風に動いてるかを見てる訳です」
アメリカ軍の艦船や戦闘機の動きをこれまで13年間、毎日監視してきた市民団体「リムピース」の頼和太郎編集長はホワイトビーチへの原潜の寄港の目的は、アメリカ軍が説明する「補給や乗組員の休養」ではないと分析します。
頼さん「ホワイトビーチの寄港というのは一時寄港というのがものすごく多い。この横須賀にも原潜は入ります。でも一時寄港というのはこの2年間で一隻しかありません。
ホワイトビーチへの寄港(目的)は、いわゆる乗組員の休養とかそういうものではない。僕はその潜水艦のデータ、無線では渡せない膨大な情報を磁気データとして渡してるのではと思う。そのためにホワイトビーチにちょっと寄ってすぐ出ていくと」
実際、ことしの39回の原潜の寄港のうち桟橋に接岸しない沖合寄港は実に33回にも上ります。
頼さんはオハイオに海上自衛隊の幹部2人が搭乗したことも問題視しています。
頼さん「オハイオは潜水艦を攻撃する潜水艦ではなく、相手の(領土)を攻撃する潜水艦ですから。平和憲法を踏みにじって、海外派兵とか、外国の領土を攻めるとかそういったことが出来る軍隊になりつつあるといった気がする」
日米の軍事一体化が進む一方、その情報の開示はますます制限される傾向にあります。
アメリカ軍は、原潜が日本に入港する際には外務省を通して県と地元市町村とその漁協、またマスコミに対し、24時間前までに連絡していましたが、2001年の同時テロ以降は原潜への攻撃を避けるため、マスコミを通知対象から除外。また、直接的な影響を受ける地元の漁民にも、潜水艦の寄港情報は完全には伝わっていません。
漁師「潜水艦が入るのか、入らないのかもわからない」「(Q:漁船の通行制限はどういう形で知るのか?)潜水艦が入ってこれば、アメリカ軍のパトロール船が止めに入る」
漁協への連絡はあっても、漁師は毎日、漁協に寄ってから漁に出るわけではないので、連絡が行き届いていないのが現状。
このホワイトビーチの今の状況は、多くの船で過密状態の海、そして連絡・監視体制の不備が原因で起きたことし2月のイージス艦と漁船の衝突事故の時と良く似ているとも言えます。
今後、沖縄の海はどう軍事的に利用されていくのか?
頼さん「いざという時に補助艦船だとか、調査船みたいなものがいつでも入れるようにしたいという気持ちはあるでしょう。そういう意味で、沖縄のいろんな港にこれからも入ろうとするかもしれません」
梅林さん「グアムもすでに3隻の潜水艦の母港になっている。ただ、台湾海峡ということを考えると、やっぱり沖縄はグアムよりずっと(米軍にとって)有利な場所にあるので、沖縄を使った情報交換は続くと思う」
アメリカ軍の「アジアの火種」に対する警戒の動きが沖縄の海の緊張をさらに高めています。
実際に、きのうも中国の海洋調査船が尖閣諸島付近で領海侵犯するなど、中国の動きが不穏なのは事実ですが、それに軍事力で睨みをきかせるのでは緊張が高まる一方です。武力によるエスカレートに歯止めをかけるためには、日本や基地を抱える沖縄から力に頼らない外交を提案することも必要です。
作者:松島 泰勝(まつしま やすかつ)
更新日:2009年1月8日 9時59分
映画「アメリカばんざい」
11月21日の琉球朝日放送で「アメリカばんざい」という、現在、評判の映画について報じていますので、お伝えします。
アメリカは現在もイラク戦争を継続中でここ沖縄からも多くの兵士が戦場に送られています。その兵士達の心の闇に迫る映画があすから上映されます。その中身と映画を見た沖縄の生徒達を岸本記者が取材しました。
アメリカ・サウスカロライナ州にある新兵の訓練所。「G.I(政府の支給品)」という俗称を持つアメリカ兵は新兵が訓練所に到着してから48時間、寝ることや私語を許さず、軍隊のルールを徹底して叩き込みます。
おととしから合計7回、延べ200日にも及ぶアメリカ取材を重ねて作品を完成させた藤本幸久監督。
藤本幸久監督「フェンスの内側の人達がどういう人たちなのかというのがすごく気になった。みんなものすごく若いし、幼いし」
映画では軍のイラク派遣命令を拒否し、軍法会議で有罪判決を受けた元兵士が戦争の現実を語ります。
パブロさんは地元の高校で軍での体験を語るボランティアをしていますが、仕事が少ない地方では就職先としての軍の人気は今でも根強いものがあります。
イラク行きを拒否し、禁固3か月、重労働2か月の刑を終えて、今は日本人の妻・しおりさんと子どもの3人で暮らすパブロ。
映画では一方、戦争に参加し、今もPTSDなどの後遺症に苦しむ帰還兵たちの今も克明に伝えます。
藤本監督は先週、那覇市内のフリースクールで講演を行いました。戦場の生々しい映像に思わず顔をゆがめる若者達。一方、沖縄戦を体験した夜間中学の生徒達は戦争をより身近なものとしてとらえ、画面をしっかりと見つめていました。
夜間中学の生徒「底辺の人間だけが苦しんでいるというのを本当にみんな分かってほしい」「戦争はどんなことがあっても駄目。これに日本も手を貸すといったら絶対に嫌です」
また、アメリカ兵の新兵と同じ年代の若者たちは?
若者「自分も今19歳なんですけど、人と接することができなくなったりするのがあるのがショックだった」「(Q:自分の夢を叶えるために軍隊に入るってのは理解できる?)はい。アメリカとかだったら大学を卒業しないといい仕事につけないとかいってたし」
藤本監督はこうした今の日本の若者たちにこの映画を通して、戦争の現実を肌で感じてほしいと語ります。
藤本監督「若者たちが、いつの時代も戦争というのは自分の身を的にしてやらないといけない。これは現代になったからといって全然変わっていない。若者たちの未来や夢や人生をいわば使い捨てにして戦争というのはやるしかない。
そういう過酷な運命を背負っていくことになって、そういう未来を担わされた若者が兵士として沖縄に来ている。そういうものとして基地があって、軍隊があるということをリアルに見つめることが必要と思う」
イラク戦争による米兵の戦死者は約4000人、イラク人の死亡は14万人を超えている。しかし米軍は民間人の犠牲者数について数字を一切公表していない
藤本監督の映画「アメリカばんざい」は、あす22日から那覇市の桜坂劇場で上映されます。
作者:松島 泰勝(まつしま やすかつ)
更新日:2009年1月7日 12時53分
2008年総括 経済
12月18日の琉球朝日放送において2008年の経済総括についての報道がありましたので、お伝えします。
派遣切りの問題が深刻化しているなか、各自治体において失業者のための住宅提供など、具体的な対策を実施していますが、沖縄県の知事は会社にお願いしただけで、実際に具体的な対策として何をしたのでしょうか。今日、知事は910万円の公費を使ってアメリカに行きます。何をするために行くのでしょうか。
きょうから7回シリーズでお伝えする2008琉球の「変」。1回目のきょうは世界を揺るがし、県内にも大きな影響を与えた経済問題がテーマです。実近記者です。
実近記者「2008年沖縄経済、今年はこの家計簿が売れる一年になりました」
今、全国で売れている家計簿。そのわけは、今年一年を振り返ると見えてきます。
『きょうのレギュラー1リットルの値段は172円です』『もうお手上げ、もう地獄ですよ』
年明けから、県内経済を襲ったのはガソリンなど物価の上昇。原油や原材料価格の高騰によるもので、生活必需品も軒並み値上げされました。
瀬底ビーチリゾート・中川敬文代表取締役「本当にお詫びだけです。本当に申し訳ございません」
8月に県内に衝撃を与えたのは、本部町で「瀬底ビーチリゾート」の開発を進めていた都市デザインシステム社の経営破たん。従業員およそ140人が解雇される事態となりました。
従業員「やっぱりショックでした」
県内で大規模な開発を進めてきた本土の新興不動産会社の経営破たんが相次ぎました。
その発端はアメリカのサブプライム住宅ローン問題。9月にアメリカの証券大手リーマン・ブラザーズが破たんしてからは事態は急速に悪化。今年後半、世界はまさに100年に一度と言われる金融危機に突入しました。
東京商工リサーチ沖縄支店・友利政人部長「今年前半は新興不動産開発業者、県外のデベロッパー、マンション開発業者、こういうところが県内に目を向けていた。昨年1年間、いろんな土地、開発地、ホテルそういうところをいろいろ物色、買収してきた。そういう新興デベロッパーの破たんが目立ったと。当然、沖縄県内の建設業者にもろもろ影響がでたと」
金融危機の影響を最も受けたのは、公共工事の減少や談合問題や改正建築基準法施行など、ここ数年、何度も厳しい局面に立たされたきた県内建設業。県内企業の倒産件数はすでに96件と去年を大幅に上回っていて、その半数が建設業です。
『愛知県の方でお仕事されてたのは何月までですか?』
今月にかけ、全国で深刻化した雇用問題。金融危機の影響で、新車販売台数(国内)はおよそ40年前の低水準に陥り、自動車会社は相次いで従業員の大幅なカットに乗り出しました。昨年度、県内のハローワークを通して県外に出稼ぎに行った人の7割以上は愛知県で、ほとんどが自動車関連です。
沖縄労働局職業安定部・富永哲史部長「(現在は)県外に行っていた人がどんどん帰ってきている。帰ってきても、また県外に行けるという状況ではないのでこちらに滞留し、沖縄県内もだんだん数字が悪くなっているという状態になっています」
県内の有効求人倍率は、すでに10月現在で6年前の低水準に下落していますが、本格的な就職難はこれからと言えそうです。
そんな中、日銀那覇支店は今週、最新の県内の短観を発表。その内容は「まだ本格的な金融危機の波は県内に及んでいない」というものでした。
日本銀行那覇支店・水口 毅支店長「沖縄県の中に輸出企業が少ないので、海外の需要が減ってもその影響はダイレクトには企業は感じない。だけれども、本土の輸出している企業の売り上げが減ったり、収益が減ったりすることによって、そこで勤めている人が儲からなくなる。例えば、沖縄に旅行しなくなってしまう。
今現在、県内景気は横ばいの状態にあるんだろうと思っています。ただ、年明け2009年以降に少し悪くなっていくだろうと思われるような材料が増えてきている。下降局面の中での踊り場というんでしょうか、そんな感じです」
金融危機は原油の下落を招き、今年終盤にかけて物価は値下がり。しかし、消費者の財布のひもは固く、内需の拡大は簡単ではないとみられています。好調だった沖縄観光もここにきて今年の目標の620万人達成は難しいとの見方が強まるなど、暗い材料ばかりが目立ちます。
日本銀行那覇支店・水口 毅支店長「そういう中で、しっかりと企業収益を守ったり、消費者の方々が家計を支えるためには、自分がいまどういう状況に置かれていて、今後どうしようかということをその場その場できちっと考えることだと思う。
今、日本全国で家計簿の売れ行きがかなり増えているらしく、それは、家計簿をしっかりつけた方がやっぱり節約できるからという発想がある。ということは、不況の中でこそ売れる物があるはず。そういったことに注目して企業も消費者の方々もいろいろ考えていくということが生き残りのカギになるだろうと思っています」
世界経済に翻弄された2008年。こんな時こそ、足元を見つめた落ち着いた対応が求められているといえそうです。
ついさきほどから仲井真知事も、愛知県のトヨタ本社で雇用の確保について要請を行っているということで、金融危機の本当の影響は、これからということです。先の見えない時代ですが、だからこそ、あまり一喜一憂しないということも大切なのかもしれませんね。
作者:松島 泰勝(まつしま やすかつ)
更新日:2009年1月6日 7時18分
2008年の総括 事件・事故
2008年12月19日の琉球朝日放送にて2008年の総括、事件・事故が報じられましたので、お伝えします。
基地関係の事件、事故がとめどもなく発生していることがわかります。
シリーズでお伝えしている「2008琉球の変」。ことしの沖縄も悲惨な事件事故が多発しました。繰り返される事件事故から見える課題を考えます。久田記者です。
繰り返された悲劇。2月に発生した海兵隊員による少女暴行事件。当時38歳の容疑者の卑劣な行為に、県民の怒りは増幅、県民大会にまで発展しました。
しかし、過熱する報道・世論は14歳の少女には抱えきれない大きなストレスとなっていたのかもしれません。少女は告訴を取り下げ、容疑者は日本の裁判ではなく、軍法会議で処分されました。
少女を守るためには何ができたのか、二度とこんな事件を起こさないために何が出来るのか。私たちは、深く心に刻まなければいけません。
沖縄中に激震が走った、マンゴーの産地偽装事件。
生産者「長年の努力によって築きあげた宮古島産ブランドイメージを一瞬にして大きく損ねる結果となりました」
8月には海ぶどうの産地偽装も発覚。「安心で美味しい県産品」を育ててきた多くの関係者の努力を踏みにじる犯罪は、県産品のイメージに大きな傷をつけました。
久田記者「被害にあったタクシー運転手は、ちょうどこのあたりで手を上げている外国人3人組に気づき、車を停車させます。その際、トランクを開けるようにと指示され車を降りると、いきなり背後から殴られました」
最も身近に感じられたのは、続発した強盗事件でした。
「もしトランクの中にジャッキとかが見つかったら、これでやるつもりではなかったか。(それでトランクを開けさせた?)中を見ておったからよ」
3月、沖縄市で発生したタクシー強盗事件。規律を正すべき憲兵隊員が「強盗を実行した少年らを基地から現場まで送迎した」として起訴され、有罪判決を受けました。
今年は、ほかにもタクシー運転手をガラス瓶で殴りケガを負わせる事件が起きるなど、アメリカ兵によるタクシー強盗事件が相次ぎました。基地内に乗り入れるベースタクシーの運転手は、大きな収入源である軍関係者の事件に複雑な心境です。
タクシー運転手「(軍人には)まじめな人もいっぱいいますよそりゃ。憲兵隊がやったっていうのは大変ショックですね。正直なところ(事件があるたび)またか、っていう思いは、みんなが思ってるんじゃないですか」
10年近く、基地関係者を客を乗せているというこの男性。タクシー強盗が続発した時期には、仕事が一気に減ったと言います。
タクシー運転手「大々的に流されてしまうと、軍のほうでも行動を抑制しないといけない。結局、外出禁止令みたいになってしまう。極端に減っているときには、収入が5万から10万減ります」
事件が起こるたび、生活は苦しくなる。地元ドライバーの苦悩と不安は続いています。
ことしはタクシーのほかにも、コンビニや飲食店への強盗事件が相次いでいます。きょうまでに発生した34件のうち、半分の17件が未解決。去年は未解決事件はなかっただけに、一刻も早い事件解決が待たれます。
目撃者「バチーンてすごく大きな音がして、友達の家のゲームとかが全部停電して」
名護市真喜屋のサトウキビ畑に、嘉手納基地所属のセスナ機が墜落した事故。事故直後から乗組員の事情聴取や機体の検証を求めた県警をよそに、終止アメリカ側が捜査の主導権を握りました。その結果、断定された事故原因は燃料切れ。単純ミスがもたらした事故。死者が出なかったことは不幸中の幸いとしかいいようがありません。
本部町水納島沖で発生した、貨物船と漁船の衝突事故。
航平丸・名嘉村彰船長「3人も死んだということに対して、自分が代われるんだったら代わりたい」
漁船で仮眠を取っていた3人が亡くなりました。どちらかが相手船の進路を妨害した可能性があり、現在も海上保安庁による調べが続いています。
遺族「涙が出るってものではなかった、あまりにもショックで。まだピンときません」
数々の事件事故がもたらした被害者の悲しみや県民の怒り。必ずや、再発防止への教訓にしていかなければなりません。
こう見ていると本当にいろんな事がありました。これらの事件・事故に絡んでいるその背景や課題に解決の糸口があるのなら、正面から向き合う努力が必要です。2度と悲しい事件や事故が起きない社会にしたいものです。
作者:松島 泰勝(まつしま やすかつ)
更新日:2009年1月5日 4時24分
2008年の総括 県政
12月22日の琉球朝日放送で2008年の総括・県政についての報道がありましたので、お伝えします。
仲井真県政は、財政が厳しく、派遣切りが行われている現状において、なぜ1500万円(のちに910万円に減少させ、議会により許可される)をかけて米国に行こうとするのか。今からでも遅くないから撤回すべできあると思います。
泡瀬訴訟に対する控訴も環境行政にとって大きな汚点となりました。
また「議会の議決は必要ない」とする地方自治法とは何であろうか。法律だけによって自治が実現しないことがこれでも分かります。
シリーズ「2008琉球の変」。きょうは県政の一年を振り返ります。就任2年目の仲井真県政。6月の県議会の与野党逆転により、その県政運営は大きく変化しました。
上里直司議員(民主)「バンザイ!」
玉城満議員(改革の会)「当選バンザイ!」
仲村未央議員(社民護憲)「バンザイ!女性の声をしっかり県政にいかしていきたい」
上里直司議員(民主)「本当に県民の皆さんから、たくさんの期待を込められた議席だということを実感しております」
6月、県議会議員選挙が行われ、結果は与野党逆転。
翁長政俊議員(自民)「今回の県議選挙は議席の過半数を与野党どちらが取るかに注目が集まりました。我が党の敗北で、野党が過半数を制することになりました」
後期高齢者医療制度問題などを追い風として、野党が議会の多数を占め、県議会と県政の流れが大きく変わったのです。
仲井真弘多知事「やっぱり私の政策運営に対する批判だろうという気がします。確かに有権者の反応が敏感ではありました」
今年2月議会までは圧倒的多数を占めた自民、公明の与党に支えられ、数の力を背景として政策遂行のための議案を通してきた仲井真知事。
しかし、議会が与野党逆転したことで事態は一変。6月議会では、仲井真知事が主張する普天間基地の名護市辺野古への移設計画をめぐり、野党の賛成多数で辺野古への新基地建設に反対する決議が可決され、野党と知事の全面対決に入りました。
仲井真知事「普天間基地の危険性、騒音被害をどう解決しるのか、道筋、シナリオが示されていない」
また訪米要請のための知事訪米予算案1500万円についても、野党と執行部の間で意見が対立。野党は要請項目の「米軍再編の確実な実施」という文言を問題視。県議会決議に反する要請だとする訪米予算案を否決しました。
仲井真知事「執行部は誠心誠意、説明をし、ご理解をいただきたいと思いますし、いただけるものと今でも思っている」
そして11月定例会の開会日。泡瀬干潟埋め立て事業への公金を出してはならないとする那覇地方裁判所の判決を不服として、仲井真知事が控訴することを決めました。議会の議決は必要ないとする地方自治法の理由からです。
『知事が議会の議決を不要としたことは議会軽視である』
開会冒頭、反発した野党議員が退場。議会は開けず、9時間にわたって空転しました。
結局知事は議会の議決は必要としないが、説明はすべきだったと野党の理解を求め、事態を収拾しました。
さらに仲井真知事は、訪米予算案を900万円に縮小して再度議会に提案。「米軍再編の確実な実施」の文言を「基地の整理縮小」へと変え、野党の理解を得たのです。
仲井真知事「政策形成に影響を持つアメリカ側の関係者等に対し、地元の声を直接訴え、実情を理解してもらう」
仲井真県政のこの一年を振り返ると、基地問題の解決に進展が見られず、雇用失業率は悪化。議会との対立だけが際立ちました。今後も県立病院の切り離しなど問題が多く、少数与党として厳しい議会対応を迫られることになります。
県議選で野党が過半数を占めたことで、議会と県当局との間に生まれた緊張感。この緊張感のある議論が、有権者の政治への関心の度合いを深めていくことにつながるのではないでしょうか。
作者:松島 泰勝(まつしま やすかつ)
更新日:2009年1月4日 10時14分
2008年の総括 基地
12月23日の琉球朝日放送で基地に関する2008年の総括が報道されていましたので、お伝えします。
琉球にある米軍基地、事故処理方法をみると、琉球が日本と米国の植民地であることが明白です。
ことし2008年を振り返る、琉球の変。きょうは「基地」です。
ことしもアメリカ軍絡みの事件や事故にニュースの時間を多く費やすことになりましたが、きょうは10月に起きたセスナ機の墜落事故、そして7月に県議会で可決された「辺野古への基地建設に対する反対決議」の2つを軸に今の日米同盟と沖縄が置かれた状況を考えます。
「10月24日 午後6時35分米軍セスナ機が名護市に墜落」
目撃者「心臓が飛び出るくらい大きな音だった」「(火が)だんだん大きくなって行った」
今月、墜落原因が「燃料切れ」と断定されたセスナ機の事故。
「事故当日、ここ真喜屋小学校の校庭では子供達が野球の後片付けをしていました。ちょうどその時、あの山の脇からセスナ機が現れ、あちらのサトウキビ畑に突っ込んでいったのです」「墜落現場は事故から2か月がたった今も放置されたままで折れ曲がったり、途中で切断されたサトウキビが無残な姿をさらしています」
4年前のヘリ墜落事故の記憶を呼び起こさせた今回の事故。アメリカ軍が現場を封鎖し、治外法権の状態となったあの時の教訓は今回、事故後の対応に活かされたのか?
迫田危機管理官「(日米で)確認してきたことに基づいて、事故発生当初の事故現場の統制を行ったと認識している」
4年前、県警による機体の検証を拒否したアメリカ軍は今回、現場検証を県警と合同で実施。現場は、外側の規制線を名護署が担当し、内側を日米で共同管理しました。また乗組員に対する事情聴取についても公務外の事故の上、過失も大きいと判断し今回は認めました。
しかし、現場検証を終えた機体はまたしても基地の中へ。公務外にセスナ機が墜落した事故にも関わらず、証拠は4年前と同じくアメリカ軍が押収しました。
池宮城弁護士「基地の外で事故が起きれば、公務上であろうが公務外であろうが全部、米軍の一存で勝手に事件処理されてしまうと」県警の要請を拒否し、軍が機体を持ち帰った根拠は「アメリカ軍の同意がない場合、日本の警察は軍の所有物の差し押さえや検証を行えない」という日米地位協定でした。
池宮城弁護士「日本が主権を放棄して、アメリカの言いなりになっていると、言いなりになるような合意が暴露されたということですね」
セスナが墜落した畑でサトウキビを育てていた男性は事故から2か月が経つ今、補償の遅さに憤りを隠しません。
「事故後(米軍や防衛局から)定期的な連絡はない。今も何も無い」「今は収穫時期なのにサトウキビを見てとても勿体ない気持ちだ」
「危険な普天間基地はどこに持っていっても危険なんですよ」
7月、県議会で過半数を占める野党は名護市辺野古への新基地建設に反対する決議案を提案。
与党議員「辺野古移設に反対するのであれば、現在の普天間飛行場はどうするのか?」「数の論理で強引に決議案を提出し、多数決で押し切るというのは民主的な手法に反するとは思わないか?」
アメリカ軍再編を推進する立場の与党は強く反発しますが、野党の賛成多数で可決されました。
傍聴者インタビュー ヘリ基地反対協 安次富浩共同代表「新しい一歩だと思う」
しかし、政府はその2時間後に総理官邸で開かれた普天間移設協議会でも、辺野古への移設の重要性を強調。
町村官房長官(当時)「(沖縄県民の負担をできるだけ軽減するという、そういう観点に立ってトータルの(米軍再編の)パッケージを作り その一環として普天間の移設があることを理解頂きたい」
また、在日アメリカ軍の最高司令官も(6月20日)地元で高まる移設反対の声にこう釘をさしました。
在日米軍 ライス司令官「在日米軍の再編は日本政府と合意したもので地元の沖縄県と合意したのではない」「我々米軍はこの再編計画を一つのパッケージとして実行したい」
そして「負担軽減」以外の面で加速したアメリカ軍の再編。
「過去最大級となる原子力潜水艦オハイオが今、ホワイトビーチ沖に姿を現しました」
過去最多を更新している原潜の寄港では、敵の領土を攻撃するためのミサイルを搭載した「オハイオ」に海上自衛隊の幹部が乗っていたことが判明。
自衛隊のキャンプハンセンを使った訓練もことしから開始され、9月に横須賀基地に配備された原子力空母ジョージ・ワシントンも沖縄近海での日米共同訓練に参加しました。仲井真知事は、こうした負担の増加に抗議し、基地の整理縮小を訴えるため来月アメリカで独自外交を展開します。
「オバマ(新大統領が)就任する前に訪米して」「沖縄における事件、事故、日米地位協定に対する県民の思いをきちっと整理整頓した資料を届けて、しっかり受け止めてもらいたい」
今月、伊芸区で発見された銃弾は、すぐ傍で演習を行うアメリカ軍のものである可能性が高まっています。
伊芸区民「金武町の町長さん、私一言いいます。」「泣きたいくらいです。騒ぎはいつもここです。伊芸だけです。」
伊芸区民が銃弾の恐怖に脅えず、安心して暮らせる日は果たしていつ訪れるのでしょうか?
作者:松島 泰勝(まつしま やすかつ)
更新日:2009年1月3日 12時37分
2008年の総括(環境)
昨年12月25日の琉球朝日放送で昨年の環境問題についての放送がありましたので、その内容をお伝えします。
琉球においても気象異常がみられ、環境問題も深刻化した年でした。
シリーズ「2008琉球の変」、きょうは環境です。二酸化炭素の排出量増加などによる地球温暖化、特に沖縄ではサンゴの白化や原因不明の病気など、ことしは自然環境に大きな変化がありました。
また、東北地方では大きな地震が何度も襲い、沖縄でも地震が発生し、本格運用が始まって全国で始めての「緊急地震速報」が出されました。ことし1年の自然環境を振り返ります。
サクラサク1月3日、沖縄気象台は桜の開花宣言を行いました。34年前の記録を塗り替える、観測史上最も早い開花宣言。
ことしの環境異変の始まりでした。
沖縄気象台によると11月上旬まで太平洋高気圧の勢力が強く、11月7日には那覇市で30度を超えました。観測史上もっとも遅い真夏日の記録になりました。
観光客「暑いとは思っていたけど、30度を超えるとは思ってなかった」
そして、ことし那覇市の真夏日は124日と17年ぶりに記録を更新。実に1年の3分の1以上が「真夏」です。名護市や久米島でも記録を更新しました。
また、ことしの沖縄本島への台風の接近は1個と少なく、その理由も太平洋高気圧の勢力が強かったからということです。
本島地方に大きく張り出した高気圧。その結果…。
久田記者「石垣市では暴風域にはいって丸一日が経とうとしています。停電がいたる所で続いていて、シャッターをおろしているコンビニもあります」
このうち台風13号は与那国島で9月13日に1日の降水量が765ミリを記録。1年の3分の1の雨が一日で降りました。
住民「きょうみんなで掃除してきれいにしたところなんですけど」
この2つの台風で、石垣市や与那国町などで堤防の崩壊やサトウキビがなぎ倒されるなど甚大な被害。その被害額は14億円あまりにのぼりました。
4月28日午前2時32分。宮古島近海を震源とするマグニチュード5.2の地震が発生し、宮古島市などで震度4を観測。そのとき全国で初めて「一般向用緊急地震速報」が発表されました。
沖縄気象台・當間浩さん「震度5弱以上を推定したとき、震度4以上の地域を含めてお知らせする」
しかし、時間帯が真夜中だったことからほとんどの人が速報に気づかず、さらに速報は揺れ始めたあとでした。
沖縄気象台・當間浩さん「震源の近くでは技術的な限界で間に合いません」
7月には沖縄本島近海を震源とするマグニチュード6.1の地震が発生。沖縄で2回目の緊急地震速報が流れ、今回は本島のほとんどの場所で揺れる前に報じられました。この地震で国頭村では震度4を観測。1968年以来、本島で40年ぶりでした。
気象台ではこの程度の地震は、今後も発生する可能性が十分にあると警鐘を鳴らしています。
沖縄気象台・當間浩さん「地震調査委員会の報告では、那覇で向こう30年間で震度6弱以上の発生する確率が15.3%」
国際サンゴ礁年だったことし。世界各国の研究者や自然保護団体が、サンゴ保全の重要性を訴えていきました。
世界でも有数のサンゴ礁域、石西礁湖。
去年、これまで以上の大規模な白化現象が発生。被害は壊滅的で、ことし夏の調査でほとんど再生していないことがわかりました。
サンゴがなくなった場所は砂地になり、何もいなくなりました。
九州大学・野島哲博士「石西礁湖で生きているサンゴが、海底の面積に対してだいたい5%から15%ぐらい。本当に危機的な状態だと思っています」
最新の研究では、サンゴ礁は「2020年頃に終焉を迎える」と言われています。「石西礁湖の砂漠化」はその始まりに過ぎません。
自然環境を脅かす公共事業に、司法が「待った」をかけました。
沖縄市の住民ら582人が県や市を相手に起こした泡瀬干潟埋め立て訴訟。那覇地裁は、埋め立て事業には経済的合理性が認められないとして、県や沖縄市に公金の差し止めを命じました。
泡瀬干潟を守る会・前川盛治事務局長「非常に喜んでおります。泡瀬干潟の埋め立て工事の中止に向けて、大きな展望が開けた」
しかし、県と沖縄市は控訴し、埋め立て工事は今でも続いています。
豊かな自然を未来に残すため、自然とどのように向き合い生活していくか、改めて考える1年でした。
作者:松島 泰勝(まつしま やすかつ)
更新日:2009年1月2日 8時8分
新年のご挨拶とイベントの紹介
皆様、新年あけましておめでとうございます。
本年も、ゆいまーる琉球の自治の活動を展開してまいりたいと思いますので、
ご理解とご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
さて、今月13日、龍谷大学におきまして開催される講演会、映画のショートバージョン放映、研究会についてチラシができました。本ブログではPDFファイルをうまい具合に貼り付けることができないので、チラシのテキストのみを次に掲載します。
入場無料ですので、お近くの方は是非、ご参加ください。
主 催:龍谷大学社会科学研究所 共同研究
民際学研究の基盤づくりを目指して
(研究代表者:松島泰勝)
お問い合わせ:龍谷大学 経済学部 松島泰勝
TEL:075-642-1111(代表)
場 所:龍谷大学深草学舎21号館603教室
入場無料・事前申込不要
開催日:2009年1月13日(火)
時 間:15時00分~17時30分
15時00分:映画の予告編・ショートバージョン鑑賞
15時40分:監督講演・質疑応答 などなど
映画『フツーの仕事がしたい』映画情報
撮影・編集・監督・ナレーション:土屋トカチ
ナレーション:申嘉美 出演:皆倉信和
取材協力:全日本建設運輸連帯労働組合、
皆倉タエ、皆倉光弘
音楽:マーガレットズロース「ここでうたえ」
(アルバム「DODODO」より オッフォンレコード)
制作:白浜台映像事務所/映像グループローポジション
配給・宣伝:フツーの仕事がしたいの普及がしたい会
宣伝協力:ポレポレ東中野
2008年/日本/DV/70分/カラー
公式ブログ: http://nomalabor.exblog.jp/
公開講演・上映会 『フツーの仕事がしたい』
監督:土屋トカチさん(本学卒業生)を囲んで
主催:社会科学研究所 民際学グループ
■あらすじ■
皆倉信和さん(36歳)は、根っからの車好き。
高校卒業後、運送関係の仕事ばかりを転々とし、現在はセメント輸送運転手として働いている。
しかし、月552時間にも及ぶ労働時間ゆえ、家に帰れない日々が続き、心体ともにボロボロな状態。
「会社が赤字だから」と賃金も一方的に下がった。生活に限界を感じた皆倉さんは、藁にもすがる思いで、ユニオン(労働組合)の扉を叩く。
ところが彼を待っていたのは、会社ぐるみのユニオン脱退工作だった。
生き残るための闘いが、否が応でも始まった。
(フツーの仕事がしたい公式ブログより)
講師:土屋 トカチさん
1971年 京都府舞鶴市生まれ。
10歳の夏、自衛隊員だった父を事故で亡くす。
父の死に、非常にコンプレックスを持ち続け思春期を過ごす。
1994年に龍谷大学法学部(川端正久ゼミ)卒業後、阪神・淡路
大震災の起こった1995年3月に上京。
早川義夫氏に憧れ、近所の本屋に就職する。
97年、新宿野宿者支援イベントにおいて、あるビデオ制作者に
出会い ビデオ制作に興味を持ち、以降バイトをしながら映像の
勉強を始める。
2000年、ネット上のストリーミング動画配信会社に就職。2002年3月、同会社を退社。 以降、フリーでビデオ制作を行う。
作者:松島 泰勝(まつしま やすかつ)
更新日:2009年1月1日 8時42分
大晦日のご挨拶
本年も今日一日となりました。
NPO法人ゆいまーる琉球の自治として、伊江島、西表島で集いを開き、当事者意識をもって島の問題を考えてまいりました。多くの皆様のご協力によって集いを開くことができました。心よりお礼申し上げます。
本年の集いで出会った方々とのつながりを今後も大切にして、琉球の自治のためのネットワークを広げていきたいと考えていますので、ご支援、ご指導のほど、よろしくお願い申し上げます。
来年も5月ごろに沖永良部島において集いを開く予定です。
来年も、自らが信じた道を一歩一歩進んでいきたいと考えていますので、どうぞよろしくお願いします。
先日、研究開発支援総合ディレクトリーに私の主要な研究内容(本、論文、学会発表、その他)を
書かせてもらいましたので、ご関心がおありの方は、次の
READ(研究開発支援総合ディレクトリー)のホームページ(http://read.jst.go.jp/)にアクセスして、
私の名前を入力して、見てください。
また来年度もどうぞよろしくお願い申し上げます。
松島泰勝拝
http://read.jst.go.jp/
作者:松島 泰勝(まつしま やすかつ)
更新日:2008年12月31日 14時48分
ゆいの精神を発揮しよう
12月29日の八重山毎日新聞に厳しい社会生活の中で「ゆいの精神」を発揮しようと呼びかける記事がありましたので、ご紹介します。
八重山諸島にとっても今年は大変な年であったことが分かります。このような厳しい時にこそ、島の力である、ゆいまーるを見直して、新しい年に望むべきではないかと思います。
「困ったときには、1人で悩まずに相談しよう。苦しみもみんなで共有しよう。復帰前はみんなが支えあって生活してきたのだ。それが島社会の原点で、八重山にはまだ残っているのだ。」という言葉は、八重山の自治の可能性を示すものであるといえます。
市民生活直撃した激動の1年
1年の世相を反映する漢字に「変」が選ばれたように、今年は物価上昇による生活の変化が著しく、
世界経済の大変動に見舞われた。
八重山の「変」は長雨に始まり、オニヒトデ大量発生、観光客の減少、大型台風被害、原油価格高騰に伴う物価値上げラッシュ、子牛価格の暴落と、まさに激動の年だったといえよう。
とりわけて原油高騰の経済異変は、郡民生活を直撃した。有村産業の倒産で海路の旅客は閉ざされ、バス、タクシー料金値上げ、さらに離島定期航路も燃油サーチャージ制を導入、食品を中心に生活物資が軒並みアップした。
輸送コストが大きい離島には、都市の数倍ものスピードで経済変動の波が押し寄せたのだ。
その荒波に産業も揺れた。八重山経済を支える観光は、景気悪化に伴う旅行需要の冷え込みに必死に耐えている。
希望退職を募ったホテルもあり、雇用調整に入った。公共工事の減少、資材高騰で経営に行き詰まった老舗建設会社もある。
■子どもたちの活躍の年でも
だが、暗い出来事ばかりではない。雨にたたられたものの、ロッテキャンプがスタートし、子どもたちはあこがれのプロ野球選手を間近で見られるようになった。少年野球の指導者に与えたインパクトは大きい。大相撲の巡業もあった。
また「八重山から都大路に行かす会」も発足し、八重高男子駅伝部がその期待に応えた。最終的に県大会で2位となり出場権は逃したものの、子どもたちはそれまでの下位グループからトップクラスまで、成長を遂げたのである。これは一昨年の甲子園出場と同様に、八重山の子どもたちの身体能力の高さを裏づけ、地域の支援体制次第でどの競技でも目標レベルに達することを見せた。
さらに中高校各校が各種大会で「日本一」を次々と獲得。全国農林水産祭では畜産農家の多宇夫妻が県初の天皇賞に輝いた。「日本一」の畜産農家を輩出したのである。
市北西部地区や竹富、与那国両町のブロードバンド整備も進んだ。また環境問題への意識も高くなった。
市の景観条例を支援する民間団体が発足し、地球温暖化防止など活発に活動している。大きな特徴だろう。
■不況克服には原点回帰
やがて新年を迎えるが、100年に1度と言われる世界同時不況で、より厳しいスタートとなりそうだ。
昨年暮れには八重山職安窓口から季節求人がなくなった。昨年から下降傾向にあった基幹産業の観光も、入域客が大幅ダウンし、旅行控えで年明けはさらに厳しさを増すものと見られる。
移住ブームで次々と建設された共同住宅も飽和状態となり、入居者募集の看板が目立つようになった。どのように経済不況の大波が押し寄せてくるのか分からない。
このような冬の時代を乗り切るため私たちは結集して知恵を絞らなければならない。同時に助け合いの心、「ゆいの精神」を発揮しよう。
都市化が進み、市街地では隣人の顔が見えにくくなった。島社会で孤独死も起きている。困ったときには、1人で悩まずに相談しよう。苦しみもみんなで共有しよう。復帰前はみんなが支えあって生活してきたのだ。それが島社会の原点で、八重山にはまだ残っているのだ。
原点回帰は嵐が過ぎ去ったあと、必ず大きな効果をもたらすのだ。
作者:松島 泰勝(まつしま やすかつ)
更新日:2008年12月30日 8時47分